2015.1.20

WorMo’的ワークスタイル

女性ならではのビジネススキルを身につける

講義レポート/はやく帰る仕事のお作法

本格的なビジネス理論やメソッドを、女性が理解しやすいスタイルでお伝えする本講座。4回目のテーマは「はやく帰る仕事のお作法」です。講師のタブタカヒロさんが伝授するのは、仕事を早く終えるための“テクニック”ではなく、時間内に高い成果を出すための“仕事のお作法”。明日からの仕事に活かせる“お作法”を身につけましょう。

これから求められるのは
「時間をかけずに成果を上げる」働き方
最初に、「これからのプロの仕事の仕方」について、高校野球と女子サッカー(なでしこジャパン)を例に挙げて考えてみましょう。「試合時間は問わず、この試合、この大会で燃え尽きるまでやりきる」という高校野球スタイルと、「90分の試合時間内に成果を出す必要があり、試合や大会のあともその先に向けて常に変化や成長を求められる」という女子サッカースタイル。これを仕事になぞらえると、高校野球スタイルは旧来の仕事観、女子サッカースタイルはこれからの仕事観といえます。そう、今後は、「時間をかけずに成果を上げる」という仕事の仕方が求められるのです。
今回のテーマである「はやく帰る仕事のお作法」とはズバリ、「時間をかけずに成果を上げる方法」のことなんです。そのためのステップは3つあります。
  • ①しあがりを決める
  • ②だんどりを組む
  • ③生産性をアゲる
この3つのステップについて、順に説明してきましょう。
仕事の質・コスト・時間…
何にこだわる? 何をわりきる?
まずは、「しあがりを決める」ことから。仕事のしあがりを決めるのは、「Q・C・D」の3つの要素です。
  • Q:Quality = 質(どこまで上げる/下げるか)
  • C:Cost = コスト(どこまで抑える/かけるか)
  • D:Delivery = 時間(どこまで縮める/伸ばすか)
最初に「Q・C・D」を決め、3つのうちどれにこだわるかをしぼり込むことが仕上がりをきめる大切なポイントです。クライアントに提案する企画書であればQの「質~資料の正しさや見栄え」が優先、社内ミーティングの議事録であればDの「時間~スピード」が優先など、仕事の内容によって異なってくるはずです。
「Q・C・D」を決めるときに重要なのが、「相手の期待」を把握することです。相手はクライアントであったり上司であったりしますが、その人が自分の仕事に何を期待しているのかを、しっかりと理解する必要があります。そのうえで、相手に「驚きと感動」を与えられるような「+αの価値」を上乗せしていくのです。
「+αの価値」を決めるときに大切なのが、「わりきり」と「こだわり」です。Q・C・D全てで+αの価値を上乗せることは無理です。Q・C・Dの何にこだわるか、逆に言うと、何をわりきるか。メリハリをつけることがポイントです。
「相手の期待」「驚きと感動」「+αの価値」については、本講座第1・2回「じぶんせんりゃくのお作法」“仕事が増えるしくみ”で詳しく説明しています。
ここで、最初のワークに取り組みます。「しごとのしあがりシート」を使い、自分の来週(来月)の大事な仕事について、「相手の期待」と「+αの価値」を考えていきます。
削る・ひっくり返す・自動化する・任す
だんどりを効率化する4つのお作法
仕事のしあがりが決まったら、次は2つめのステップ、「だんどりを組む」に進みます。だんどりについては本講座第3回「ロジカルシンキングのお作法」で扱いましたが、だんどりが決まるとスケジュールが格段に組みやすくなります。だんどりを組むというのはあたり前のことのように見えますが、とても大切なことなのです。
今回の主旨である「時間をかけずに成果を上げ、早く帰る」ためには、仕事の効率化が欠かせません。つまり、だんどりを効率化する必要があるのです。だんどりの効率化のためには、4つのお作法があります。
  • ①削る
  • ②ひっくり返す
  • ③新しいやり方・自動化
  • ④誰かに任す
さっそく、「しごとのだんどりシート」を使ったワークを通して、自分が実際に抱えている仕事の効率化を図ります。例えば、不要な仕事はなくす、先にやったほうが効率が良いことは順序を逆にする、パソコンや機械に頼れる部分は頼る、自分でなくてもよい業務は後輩に振るなど、発想を少し変えるだけで、だんどりを効率化できる余地が見えてきます。
だんどりをタスクに分解し
具体的なスケジュールを組む
仕事のしあがりが決まり、だんどりが組めたら、最後のステップ「生産性をアゲる」です。生産性を上げるためにポイントとなるのが、「タスク(何をするか)」「スケジュール(いつするか)」「集中できる環境(どこでどうやってするか)」の3つ。まずはタスクとスケジュールについて、3ステップの「しごとのレシピWBS」にまとめます。
  • ①だんどりを具体的なタスクに分解
  • ②だんどりレベルで大まかにスケジュール化
  • ③タスクを細分化してスケジュール化
このときのコツは、仕事の納期から逆算して組むこと、すなわち、スタート地点からではなく、ゴールからということです。スタート地点から積み上げ式にスケジュールを組むと、納期を越えてしまいがちですが、仕事の内容を分解し、ゴールから逆算してスケジューリングしていけば、いつまでに何をやるべきか、全体の流れとスケジュールが見えてきます。
続いて、「集中できる環境」について考えます。よく、女性は男性に比べてマルチタスクが得意だ、と言われます。しかし、複数のタスクを同時並行で進めると、どうしても集中力や能力が分散してしまい、効率が悪くなります。今はこれをやる、と決めた時間はそのタスクだけに集中するようなスケジュールを組みましょう。
ここで、「しごとのレシピ」の3つのステップを、ワークで実践してみましょう。2つめのワークで組んだだんどりをタスクに分解し、だんどりレベルで納期からスケジュールを組み、さらにタスクをスケジュール化していきます。
タスクをスケジュール化できたら、あとはそれに従って仕事を進めるだけ。でも、これだけではまだ不十分。明日から何をどうすればいいのか、本当に早く帰れるようになるのかイメージできないですよね。そこで最後に必要なことがもう1つあるんです。
それが、1日の具体的なスケジュールを立てることです。「はやく帰る、スケジュール帳」を使って、実際に来週1週間のスケジュールを立ててみましょう。
作成のポイントは3つあります。まず、「To Doリストは作らない」こと。To Doリストに挙がるタスクというのは「やらなければならないこと」であると同時に、「いずれやること」でもあります。気分が乗ったらやろう、では、結局先延ばしにしてしまいます。大切なのは、タスクをスケジュール化すること。生産性を上げるためには、何をいつまでにやるのかを明確にすることが不可欠なのです。
2つめは、「余白をつくる」こと。例えば、スケジュール帳が打ち合わせばかりで埋まっている人は、その打ち合わせに本当に出る必要があるのか、再検討してみてください。聞くだけ、いるだけのミーティングは時間のムダ。できるだけ余白を設けて、臨機応変に調整が利くようにしておきましょう。
そして3つめは、「延長厳禁」。スケジュール帳は、必ずこの時間までに終える、という決意表明でもあります。延長を許してしまうと、結局はダラダラと残業をしてしまうことになります。時間内に成果を上げて早く帰るためには、タスクの期限延長は厳禁なのです。
この3つのポイントに留意して、「はやく帰る、スケジュール帳」が完成できたら、今回の講座は“修了”です。ぜひ、自分で立てたスケジュールに従って、「時間内に成果を上げて、早く帰る人」になってください。

文・撮影/笹原風花