2014.8.20

WorMo’的ワークスタイル

チーム力を高める働き方 ワークショップ

セミナー報告4 子育て世代を活かすチーム戦略

「子育て世代を活かすチーム戦略」をテーマに、夫、妻、そして職場の上司や同僚と、それぞれの立場から働き方や生き方について考えてきた本セミナー。最終回となる第4回目は、過去3回のセミナーでの気づきや課題を踏まえて、“チーム力”を高める働き方の実現に向けた仕組みや仕掛けを考えていくワークショップだ。夫、妻、上司、それぞれの立場を越えて活発に意見が交わされ、さまざまなアイデアが提案された。

チーム戦略の実現に向けたアイデアを出し合う
上司、妻、夫の課題の根源は同じ
ワークショップに入る前に、本セミナー第1回で講師を務めた安藤哲也さん(ファザーリング・ジャパン代表)、同じく第3回で講師を務めた塚越学さん(同理事)による、過去3回のセミナーの振り返りが行われた。上司、妻、夫、それぞれが挙げた課題には、長時間労働、ロールモデルの欠如、コミュニケーション不足、旧来の価値観による束縛など、共通性が見られることが指摘された。
これらの課題を解決し、夫、妻、上司のチーム戦略の具体的なアイデアや仕掛けを考えていこうというのが、今回のワークショップの目的だ。ファシリテーターは、イノベーションファシリテーター/ワークショップデザイナーの矢吹博和さん(NPO法人アイデア創発コミュニティ推進機構代表理事)が務め、子育て世代や企業の管理職など約30名が参加した。
ブレストでアイデアを引き出す
まずは、“1人ブレスト”でアイデア出しのウォーミングアップからスタート。今回のメインテーマである「子育て世代を活かすチーム戦略」から連想することを、各自が単語で書き出していく。ひと、もの、プロセス、環境、意味・価値、五感などの視点で、直感的に思いついたことを書くのがポイントだ。参加者が書いたものには、「コミュニケーション」、「知る」、「上司」、「価値観」などのキーワードが見られた。
“1人ブレスト”によりアイデアが出しやすい状態になったところで、自己紹介を兼ね、グループで思いついた単語やその背景を発表し合う。初対面のメンバーでも、それぞれが抱える育児や働き方の課題や事情を共有することで、リラックスして話しやすい雰囲気になった。
続いて、“2人ブレスト”へと移る。2人でペアになり、チーム戦略の実現に向けたアイデアを出し合う。4分間話したら1分間メモの時間が設けられ、相手のアイデアや話し合うなかで思いついたアイデアなどを書き留めていく。“2人ブレスト”はペアを交代しながら5セット行われたが、回を重ねるごとに参加者の表情はいきいきと輝き、活発な対話がなされ、会場は熱気に包まれた。
ユニークで多彩なアイデアが満載!
アイデアを具体化していく
続いて行われた“アイデアスケッチ”では、“2人ブレスト”で出てきたアイデアを文章化していく。1人あたり最低3つがノルマだったが、参加者の多くが、5つ、6つと筆を進めていた。
出てきたアイデアは実に多彩だ。主なものをいくつか紹介する。
〈休暇取得〉
  • 育休デフォルトルール
  • 「男女とも2週間以上育休取得」を職場のルールにする。
  • みんな休暇を取ろう!
  • 有休取得状況を公表して取得を推奨し、パパ・ママだけでなく、全社員が休みやすい社風にする。
  • プライベート目標の奨励
  • 趣味、育児、婚活など、社員全員が「今年の目標」を立てて発表し、「プライベート充実有休」を取得する。
〈働き方や勤務形態〉
  • 選べる働き方制度
  • 労働時間、出社時刻、在宅希望など、会社がいくつかの働き方に関する制度を用意し、社員はそれを選べるようにする。
  • テレワークの拡充
  • ITツール(インフラ)を導入して在宅勤務ができるようにする。
  • 常に2人以上の体制で仕事をする
  • 1人に急用ができても別の人が対応できる体制を整える。仕事の抱え込みを防ぎ、周りをヘルプする余裕が生まれる。
〈情報共有〉
  • 家庭の事情もGoogleカレンダー
  • 家庭でも職場でも、お迎え予定などを事前に共有する。
  • ファミリーイベントの開催
  • 社員のパートナー同士の交流や情報交換により、ネットワークを構築する。
〈育児〉
  • アウトソーシング
  • 子育ても介護も、地域のシルバー人材を活用する。
〈社内環境〉
  • 社内でワークショップ
  • 今回のようなワークショップを自社内でも実施する。イクボスを養成。
おもしろく、発展性のあるアイデアを全員で深める
6つのアイデアにしぼり込む
次のステップでは、数多くの優れたアイデアから、さらに良案をしぼっていく。参加者はテーブルを回ってすべてのアイデアスケッチに目を通し、よいと思ったものに印をつけていく(ハイライト法)。審査基準は、「おもしろい」、そして、「広がる可能性がある」の2つだ。複数のアイデアに投票してもよいが、1つのアイデアに投票できるのは1票だけだ。他者のアイデアを見て、意外性に驚いたり、大きくうなずいたりする姿が見られた。
全員の投票が終わり、多くの票を集めた上位6つのアイデアが発案者から発表された。
  • 無理やり1ヶ月休暇
    社員に1ヶ月間の休暇取得を義務づけ、その期間は給与を倍にする。
  • 子連れ出勤OKデーをつくる
    子連れ出勤OKの日を設け、社員が交代で子どもの面倒をみる。
  • 子育てチーム戦略
    「在宅勤務に挑戦」など、月ごとに、子育て戦略目標を立てる。
  • 上司をシッターに
    部下の仕事が忙しいとき、上司が代わりに子どもの世話をする。
  • レンタルロールモデラー
    自社に子育て世代やイクボスのロールモデルがいない場合、他社から借りてきて見本にする。
  • シルバー人材活用
    子どもを地域のお年寄りに見てもらうサービス。地域の活性化やお年寄りの働く場の提供にもつながる。
チームでアイデアを深め、発展させる
参加者は、これら6つのアイデアのうち、やってみたいと思うものに手を挙げ、チームに分かれてアイデアをブラッシュアップしていく。リーダー、チーム名、企画コンセプトを決めたら、ねらいや目的、ターゲットユーザー、具体的な内容について深めていく。
最後には、1チーム1分半以内でショート・プレゼンテーションを行った。準備も発表も時間が限られていたが、なかにはスキットを取り入れたユニークな発表をするチームもあり、それぞれが独自性あふれるアイデアを紹介した。
子育て世代を活かす6つのチーム戦略
  1. 無理やり1ヶ月休暇:
    社員に1ヶ月間の休暇取得を義務づけ、その期間は給与を倍にする。
  1. 子連れ出勤OKデーをつくる:
    子連れ出勤OKの日を設け、社員が交代で子どもの面倒をみる。
  1. 子育てチーム戦略:
    「在宅勤務に挑戦」など、月ごとに、子育て戦略目標を立てる。
  1. 上司をシッターに:
    部下の仕事が忙しいとき、上司が代わりに子どもの世話をする。
  1. レンタルロールモデラー:
    自社に子育て世代やイクボスのロールモデルがいない場合、他社から借りてきて見本にする。
  1. シルバー人材活用:
    子どもを地域のお年寄りに見てもらうサービス。地域の活性化やお年寄りの働く場の提供にもつながる。
“意気込み”から“アクション”へ
最後に、塚越学さんが「みなさんのアイデアはどれも大変素晴らしかったです。明日からできそうな具体的なアイデアもヒントも、たくさんあったと思います。職場や家庭内で、ぜひ、実践していってください」と講評を述べた。
第1回は上司、第2回は妻、第3回は夫と、それぞれの立場から子育て世代のチーム戦略にアプローチしてきた本セミナー。参加者は、第4回のワークショップを通して、“課題解決への意気込み”から“具体的なアクション”へと一歩踏み込めたのではないだろうか。会場の白熱した空気と、閉会後の興奮冷めやらぬ様子が、それを物語っていた。今後は、それぞれの職場や家庭で、中心となってアクションを起こす存在になることが期待される。
【レポート】子育て世代を活かすチーム戦略セミナー
第1回 2014年7月3日(木)19:00-21:30
『妊娠?! 育休?! 時短勤務?! 多様な働き方が増える今、チーム力を上げるイクボスとは』
チームで共に働くメンバーのキャリアとプライベートを応援しながらチーム力を上げる。自らも仕事と私生活を楽しむリーダーになるには?
第2回 2014年7月12日(土)13:00-15:30
『出産、子育てというライフイベントをプラスに変える、ワーキングマザーが知っておくべき処世術』
働く女性が出産、産休、仕事と育児の両立のために準備すべきこと
第3回 2014年7月15日(火)19:00-21:30
『夫が考えるべき仕事と育児の両立とは?共働き夫婦のキャリアプラン』
子育て中だからとあきらめない、妻のキャリアプランをサポートする方法

文・撮影/笹原風花