2014.6.20

WorMo’的ワークスタイル

お客様のための効率化が自分の時短に

Vol.12 できることはその場で解決!

コクヨファニチャー株式会社
スペースソリューション本部
ソリューション統括部設計推進グループ
桝井理恵子さん
コクヨ株式会社の設計統括部でのインテリアデザイン業務などを経て、現在はコクヨファニチャー株式会社勤務。オフィス移転やリニューアルに関して、家具設計からオフィスデザイン全般まで包括的に関わっている。双子の2歳男児のワーキングマザー。

インタビューアー/WorMo’編集長
河内律子(3歳男児のワーキングマザー)

会社の復職前ワークショップで
不安が軽くなった
――桝井さんはオフィスデザインの仕事に10年以上携わっているんですね。そして現在は、双子の男の子のママ。とても忙しそうなイメージですが、復職に迷いはなかったですか?
結婚したときから主人と、「うちはダブルエンジンでやっていこうね」と決めていたし、私も社会とのつながりを持ち続けたかったので、辞めるという選択肢はなかったですね。
ただ、保育園を探す段階になって改めて、「会社に戻ったらどんな生活が待っているんだろう?」と不安になりました。ネットでワーキングマザーのブログなどを探してみたけど、見つかったのは働き方も生活もカッコ良く両立している女性経営者の記事などが多くて、あまり参考にできませんでした。
でも、ちょうどその頃に同期入社の同僚が、「復職前のワーキングマザーを対象としたワークショップを企画しているので、参加しない?」と声をかけてくれたんです。彼女自身もワーキングマザーなので話を聞きたかったし、保育園に関して情報交換もしたかったので、思い切ってこどもを1人連れて、1人は母に見てもらって出かけました。
――参加してみてどうでしたか?
先輩ワーキングマザーの1日のスケジュールを教えてもらえたので、復職後のイメージを具体的に持てて、不安が軽くなりましたね。それと、双子のうち1人だけを連れて出かけたのは初めてだったのですが、こどもがグズることもなくてスムーズにお出かけできたので、いい前例をつくることができました。
――その後、復職に向けて準備はスムーズでしたか?
そうですね、そういえば復職前に腕時計を用意しました。それまではスマホを見れば用が足りたけれど、「これからは時間管理が命だ」と思って。
それから、一番忙しい朝起きてから出かけるまでの家族タイムテーブルをつくってみました。自分の支度だけ整っても主人の準備ができていなければ意味がないので。
――それはいいアイデアですね!具体的に書いてみると、どんな毎日になるのか見えやすいですね。
私も1日の流れをつかむことができたし、スケジュールを主人と共有できたのもよかったです。その予定表は今でも冷蔵庫のドアに貼ってあります。今はだんだん慣れてきて、起床から就寝までが20分ぐらい後ろ倒しになってきちゃいましたけど(笑)。
旦那さんにとっての起床デッドラインの7:20にマーカーを。朝は、三身(四身)一体で動くことが必須です。
その場で設計イメージを共有して
時短と効率化を実現
――実際にワーキングマザーの生活を始めてみてどうでしたか?私は復帰してしばらくは、夕方になると「もうお迎えの時間だ!」とあわてる毎日だったんですが…。
時短で6時間勤務なので、確かに時間には追われます。でも、出産前から効率化を意識した仕事は心がけていたので、そのやり方にだいぶ助けられています。
――具体的にはどんなやり方で効率化しているんですか?
「その場でやる」が基本です。例えばお客さまのところへヒアリングで伺ったときは、お話を聞きながらラフデザインも描いてみます。その場でご意向を確認できれば、次回からはさらに具体的な提案ができますから。社内で営業スタッフと打ち合わせをするにしても、ラフプランや提案書のストーリーなど、アウトプットイメージをつくりながら認識を共有します。言葉だけのやりとりだと、お互いのイメージが食い違ったまま話が先に進んでしまって、作業がムダになってしまうこともあるので。
――時短とはいっても、お客様やスタッフとていねいに意見のすり合わせをするからこそ、ムダを省くことができるんですね。
私のセクションではオフィス移転やリニューアルに関する提案を行っていて、私はお客様と接しているととても楽しいんです。お客様である会社が抱えている問題をどう解決できるか、と考えることに喜びを感じますし。ですから効率化するにしても、お客様の利益にもなる方法を積極的に取り入れたいですね。
上司への相談や報告も「少しお時間いいですか?」と声をかければ、すぐに打合せがスタート。こんなときは、会議室を予約する手間をかけず、オフィス内のフリースペースを利用します。
――打ち合わせがスムーズに進めば、お客様にとっても社内のスタッフにとっても有益ですよね。
スタッフとのコミュニケーションに関しては、効率化もそうなんですが、短い時間でもこまめなやりとりを心がけています。例えば、私は他のメンバーより先に帰宅することが多いので、会社を出る前にはメンバーの席を回って声をかけるようにしています。少しでも話しておくと、「この案件がそろそろ動きそうだな」といった情報を早めにキャッチできるので、心の準備ができます。
――プライベートでは、時短の工夫はしていますか?
コミュニケーション面では工夫していますね。主人とアプリでスケジュールを共有したり、母にもLINEを覚えてもらって保育園のお迎えを代わってもらったり。家族間での連絡には、電話やメールよりも効率的な気がします。
――忙しい毎日ですが、リフレッシュの時間はありますか?
結婚記念日などイベントのときに、母や義母にこどもたちを預けて、夫婦で食事に行くのが楽しみですね。忙しいからこそ、意識的に二人の時間を持つようにしています。主人もデザイン関係の仕事をしていて、私の仕事と少し共通するところもあるので、話していると面白いですね。あとは、こどもとの「ひとりっ子タイム」かな。
――1人ずつと遊ぶということ?
うちはなぜか、長男が夜更かしで次男が早起きなんです。普段は2人対私というスタイルですが、次男が寝てしまった夜は長男と、長男がまだ起きない朝は次男といっしょに遊ぶんです。
――イベントで生活にメリハリをつけたり、お子さん1人ずつとの時間をもつことで、上手にリフレッシュしているんですね。
「オフィスが新しくなることで、働く方たちの“働き方”や顔つきまでもが変わる様子を見るとワクワクします」
「“お調子者”と“お節介”の2人。言動にも個性が表れてビックリ!替え歌がブームのようで、よく2人で合唱しています」
復職に関する不安を解消してもらいたい
コクヨファニチャー株式会社 ソリューション企画部
小笠原純女さん
ワーキングマザーのための復職前ワークショップを企画・運営
8歳と3歳の女の子のワーキングマザー
――桝井さんにお話を聞いたところ、復職前にワーキングマザー向けワークショップに参加したことで、だいぶ不安が軽くなったということでした。ワークショップを企画したきっかけから教えてください。
弊社では数年前から、育児休業を経て復職する女性が増えてきました。私自身の経験からもわかるのですが、第一子出産後に復職する女性は、復職後のワークスタイルに対して具体的なイメージが持てず、不安を抱えているケースがほとんどです。
――そうですね。桝井さんも「復職したらどんな生活になるんだろう?」と考えたそうです。
それに、職場からしばらく離れているとどうしても、会社に対して帰属意識を持ちにくくなってしまいます。この2つの問題を解決できればと感じて、同僚と一緒に企画を考え始めました。
――どんな内容で開催されたのですか?
ワークショップ形式の研修を通して休職中の不安を共有したり、先輩ワーキングマザーとの座談会などを実施しました。さらに、参加者の上司やグループメンバーからのビデオによる一言メッセージも公開しました。8人のワーキングマザーに声をかけて参加者は7人、関西の実家から参加してくれた人もいました。
――参加者の反応はどうでしたか?
「いろいろあってもクリアできるから大丈夫」という先輩社員の励ましに、勇気づけられた人は多いようです。「参加してよかった」という声が聞けて私もほっとしました。
――復職後はみなさんどんなふうに働いていますか?
実は参加者たちの復職1か月後にも座談会を開催したんです。この会には、まだこどもがいないワーキングマザー予備軍の女性社員にも任意で参加してもらいました。
――違った立場の参加者がいると、多様な意見が出そうですね。
その通りです。ワーキングマザーの参加者から「先に帰宅するのが申し訳ない」という声が上がったときに、予備軍の女性が「遠慮せずに任せてください。私たちもこどもができたらお願いすることになりますから」と発言してくれたんです。お互いの気持ちを率直に伝え合えてよかったと思います。
――今後はどんな活動を展開していく予定ですか?
コクヨファニチャーでは、ワークスタイルに関して様々な提案を行っています。今後、ワーキングマザーの活用に関してご相談を受けたときに、ワークショップを企画したり、働きやすい環境づくりをご一緒に考えていければ、と思っています。

桝井さんの ある1日


6:30 起床、こどもたちを起こす
7:00 朝食、こどもたちの身じたく
(保育園に送るのはご主人が担当)
7:30 簡単に掃除、身じたく
8:00 出勤
9:30 出社
前日依頼しておいた資料のチェックとフィードバーック
10:30 案件打合せ
11:45 ランチ
12:30 提案資料作成等
14:30 クライアント先で打合せ
16:30 クライアント先から直帰
18:00 保育園お迎え、帰宅後お風呂
19:00 こどもたちに夕食をたべさせる
21:00 寝かしつけ、ご主人と夕食、シャワー
(後片づけや洗濯などはご主人と適宜交代で)
24:00 就寝

取材を終えて

取材依頼にあたっての事前顔合わせの際、取材日は追ってご連絡…と思っていたら、その場でスケジュールを確認して即決定(笑)。桝井さんの「その場で決める!」は、ご自身の行動パターンとして染み付いているのだな、と実感しました。
日々、時間に追われていると、一つの仕事をしながらも、『あれもしなきゃ、これもあった…』と、いろいろなことが頭をよぎります。しかし、今やるべきことをその場で解決する桝井さんの仕事スタイルは、取り掛かっている業務にとことん集中するということ。その集中力こそ、究極の時短スキルかもしれませんね。(河内)

文/横堀夏代 撮影/野村一磨