2013.11.6

WorMo’的ワークスタイル

「家族との時間」が仕事の原動力に

Vol.6 切り替え力と柔軟性で上手に両立

モルソン・クアーズ・ジャパン株式会社 サプライチェーン本部
テクニカルマネージャー
石橋冴子さん
米国ビール会社の日本法人であるモルソン・クアーズ・ジャパン株式会社でテクニカルマネージャー(品質責任者)を務め、新製品開発などのプロジェクト運営を担当する。2歳女児のいるワーキングマザー。12月上旬に第二子を出産予定。

インタビューアー/WorMo’編集長 
河内律子(2歳児のワーキングマザー)

新幹線通勤や母子単身赴任の道も考えたが…
――石橋さんは、娘さんを出産した後の育児休暇中に転職活動をして、現在の会社に入社なさったんですね。
そうなんです。外資系医療機器メーカーに勤務していたのですが、育休中に、私の所属するセクションを皮切りに、会社全体が都内から東海地方へ異動することになった、と連絡がありました。会社の労働組合に相談して復帰する道を探りましたが、働き続けるには新幹線通勤か母子単身赴任という選択肢しかありませんでした。

――都内で働けるポジションがあればよかったけれど、セクションごとの異動だとそうもいきませんよね…。
本当に悩みました。新幹線通勤となると往復6時間かかるので、職場にいられるのは3~4時間になってしまって現実的ではないですよね。母子単身赴任も考えましたが、天災で交通機関がストップするなど万一のことを考えると、主人と娘の家族3人で住むという条件は外せない、と感じました。主人は家業を手伝う経営側なので、私と一緒に転勤してもらうわけにもいかなくて…。

――「育休中に転職活動をした」という女性に出会ったのは初めてです。きっと大学生の時の就活や、お子さんが生まれる前の転職とは違った苦労があったのでは?
私自身も、「今までとは比べものにならないぐらいしんどいだろうな」と覚悟していました。ただ、プロジェクト運営に関する職種を中心に応募していたので、面接で受ける質問は前職で得たスキルに関することが中心で、こどもがいることはマイナス要素にはならなかったと思います。逆に、こどもがいることをマイナスととらえない会社だけが、面接までたどりつけたというか。

――前の会社を退職してしばらく専業主婦をする、という選択肢は考えませんでしたか?
そうですね、働くことが好きだったので。でも転職活動を始める前は、「ずっと家にいるのは自分の性格に合わないから」ぐらいの気持ちもありました。実際に活動してみて痛感したのは、「やはり家族3人で住んで、自分もハッピーに仕事をした方がいいな」ということ。実は最終面接まで進んだある会社が不合格だった時に、私がへこんでいたら、娘もシュンとして熱を出してしまったんです。

――わかります。こどもって、親の気持ちを敏感に感じ取りますよね。
もし母子単身赴任をしたり、仕事をあきらめたりして私がストレスを抱えたら、娘にも伝わってしまうと思って。主人も「こどもが病気の時は病院に連れて行ったりして、育児をしっかりサポートする」と言ってくれたので、ダメもとで活動を続けて、現在の会社に就職が決まりました。おかげさまでいい上司やスタッフに恵まれて、こどもとの時間を作りながら仕事ができています。

――2人目のお子さんの出産も控えていらっしゃいますが、今後のキャリアデザインはどう考えていますか?
現在任されている業務もやりがいがありますが、マーケティングの仕事にも興味があります。2人の子育てで働ける時間が限られているので、今後10年ぐらいはマーケティングに携わるのは無理かもしれません。でも、会議で同席した担当スタッフの発言や資料から「マーケティングの視点」を吸収するなど、時間をかけず、今できる勉強はたくさんあるので、焦らずにキャリアを形成していければと思います。こどもたちに「ママは今日も頑張ったよ、楽しいよ」と言える働き方を続けたいですね。

石橋さんが手にしているのは、品質責任者として関わられた新商品。今年の10月1日に発売されたばかりの『ZIMA Pink Premium』
モルソン・クアーズ・ジャパンが日本で手がけているブランド。

アメリカのワーキングマザーを見習って自宅から電話会議に参加
――時短ではなくフルタイムで働いていらっしゃるそうですが、お子さんとの時間はどうやって作っているんですか?
帰宅から翌朝出かけるまでの優先項目を「こどもと過ごすこと」に決めているんです。夜は夕食を食べさせてお風呂に入れたら、1時間ぐらいしっかり遊びます。娘といっしょに夜9時には寝てしまうので、朝4時30分には起き、夕食の下ごしらえや保育園の準備など家事を一通り済ませるようにしています。メイクも私の朝食も娘が起きる前に済ませて、娘が起きてからは朝食や着替えの世話に専念します。一緒に過ごせる時間を大切にしたいので。保育園の食事は栄養バランスが整っているので、夕食をめいっぱい頑張らなくても野菜がたっぷりの煮込み料理を一品用意しておけばいいわ、くらい気楽に考えて、必要以上には時間をかけていません。

――その考えってとてもおもしろいですね。「なんでも完璧な母でなきゃ!」って気負うことはないし、お母さんが一緒に過ごしてくれるとお子さんもうれしいですよね。ちなみにご主人は家事をなさるんですか?
私と娘が寝てしまった後に、食器洗いをしたり散らかしたおもちゃを片づけたり、掃除機をかけたりしています(笑)。私が洗濯機を回しっぱなしで寝てしまったら、洗濯物も干してくれますね。

娘と寝ている時間もこどもと一緒にいる時間にカウントして、14時間はこどもと一緒にいるんだ!と思うようにしています。
NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の挿入歌『潮騒のメモリー』にあわせ、マイク片手に歌うことが大好きです。
――ステキ!寝ている間に妖精がやっておいてくれる、みたいな(笑)。ところで、ワーキングマザーに話を聞くと、「仕事モードとママモードの切り替えがうまくいかない」と悩む人もいますが、石橋さんはいかがですか?
私は、帰宅する電車に乗った瞬間からママモードです(笑)。スマホの待ち受け画面を娘の写真にしているので、見るとすぐにリセットできるんですよ。ただ、アメリカ本社のスタッフと電話会議をする時は、時差の関係で自宅から参加することはあります。英語での会議なので、もっと語学力を伸ばしてスムーズに参加できるようにしたいですね。本社にもワーキングマザーは何人かいて、帰宅後に夕食の支度を終えてから電話会議に出たりしています。

――そうなんですか!アメリカのスタッフだと、いったん会社を出たら仕事はしないイメージがあったので意外でした。
確かに彼女たちは、ONとOFFはしっかり切り替えていますね。とはいっても、「会議は会社でしなければならない」と凝り固まらないフレキシブルな面もあります。私もその柔軟性を見習いたいと思います。

――日本とアメリカのビジネスマンでは、育児に関する考え方などもだいぶ違うんでしょうか?
今まで見てきた感じでは、アメリカ男性の育児参加は日本より活発です。夕方になると堂々と育児のために帰宅する男性社員の姿は珍しくありません。日本でも、さらに育児のシェアが進むといいですね、我が家も含めて(笑)。



 石橋さんの1日

  
4:30 起床
朝食づくり(自分だけ先に食べる)
保育園の準備、夕食の仕込み、メイク
6:00 娘とご主人を起こす、娘の朝食の世話など
(食器洗い、保育園の送りはご主人担当)
7:00 出勤
(電車での移動中は英字新聞を読んだりして英語の学習)
8:30~
17:30
仕事
18:45 保育園へお迎え
19:00 帰宅→夕食→お風呂→娘と遊ぶ
21:00 娘と一緒に就寝
(食器洗いや部屋の片付けは帰宅後ご主人が担当)

取材を終えて

私は時短勤務で会社にいる時間が短いので、行き帰りの通勤時間や家でのすき間時間を使って仕事をしています。そうしないと仕事が回らないのですが、実はそれは思い込みで、『会社にいるときに完結させる』と決めたら、より集中して仕事ができるかもしれない、ちゃんと会社で終了する仕事量かもしれない、と石橋さんのお話を伺って思いました。
また、お子様と一緒に早く寝て、早く起きる…と取材にお聞きしてから私も実践しています! 寒い季節になり早起きが少しつらいですが、自分一人の時間がゆっくり取れるし、なによりお肌にもよさそうですよ。(河内)

文/横堀夏代 撮影/ヤマグチイッキ