2020.9.9

WorMo’的ワークスタイル

「ちょこっと」「さっさっ」をとっかかりに

オノマトペ3:気が乗らない仕事に手をつけるとき

重要な仕事でも、「やったことがないから」「時間がかかりそうだから」などと自分に言い訳して後回しにしてしまうことも。いずれ取り組まなければならないなら、オノマトペを使って始めるまでのハードルを下げ、ササッと手をつけてしまいましょう。

「ちょこっと」や「ちょっぴり」で
苦手なことに手をつけやすくなる
ボリュームが多かったり、先が見えなかったりしてなかなか手をつけられない仕事を「気が乗らない」と判断しているのは、言うまでもなく自分の脳です。ですから、重い腰を上げて手をつけるには、自分の脳をだますのが有効です。
 そんなときには、「ちょいと」「ちょこっと」「ちょっぴり」といったオノマトペを活用するのが効果的です。これらの擬態語はいずれも「ほんのわずか」、「とても少ない」というニュアンスの表現です。ですから、「ちょこっとだけやろう」と宣言してみると、「気が乗らなくても、少しだけならできる」という自己暗示をかけることができます。
 オノマトペの力を借りていったん手をつけてしまえば、「ちょこっ」とだったはずでも、意外と仕事がはかどることは多いもの。脳には、一度行動を始めると線条体(やる気をつかさどる部位)が発火してその行動が止められなくなる「作業興奮」という性質があります。ですから、「ちょい」となどのオノマトペを利用して取り組み始めれば、気が乗らなかった仕事でも、作業興奮のパワーでしばらくは集中して取り組めるのです。
他人に向けて使うなら
「さっさっと」「ちゃちゃっと」「とっとと」
もおすすめ
「ちょい」とや「ちょっぴり」は、自分を奮い立たせるだけでなく、部下を励ましたり、子どもに勉強や片づけを促したりするのにも有効です。
 また、他人を行動に駆り立てるオノマトペとしては、「さっさっ」と「ちゃちゃっ」と「とっと」など「すばやい、手早い」イメージをもつオノマトペを使うのもおすすめです。特に「ちゃちゃっ」は語感が楽しく、せかしているイメージが薄いので、子育てシーンに向いています。
 これらのオノマトペを使うときのポイントは、その言葉を発したらすぐに行動を始めることです。さらに、子どもにこれらのオノマトペを使うなら、「一緒に、ちゃっちゃっと片づけちゃおう!」といった感じで、同じ目線から「一緒にやろう」と語りかけるとうまくいきやすいでしょう。

藤野良孝
FUJINO YOSHITAKA

朝日大学保健医療学部准教授、早稲田大学国際情報通信研究センター招聘研究員。国立大学法人総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了後、文部科学省所管独立行政法人メディア教育開発センター研究開発部助教などを経て現職。スポーツやビジネス、日常生活で使われるオノマトペの効果について多角的に研究し、テレビやラジオ、講演などを通じて普及に努めている。著書に『運動能力がアップする「声の魔法」』①~③巻(くもん出版)、『脳と体の動きが一変する秘密の「かけ声」』(青春出版社)など多数。

文/横堀夏代 撮影/ヤマグチイッキ イラスト/岩並明里