2015.3.2

WorMo’的ワークスタイル

こども・ママ・地域を柱にした活動を展開

Vol.16 こどもとママをビジネスの新戦力に

株式会社新閃力 代表取締役
NPO法人コヂカラ・ニッポン理事
尾崎えり子さん
大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社。結婚を機にスポーツデータバンク㈱へ転職。企業内起業でキッズスポーツクリエーション㈱の設立に参画。第一子の育児休業から復職後、代表に就任。第二子育休を機に退職し、株式会社新閃力を設立。他にも、NPO法人コヂカラ・ニッポン理事、千葉県流山市の子ども子育て審議委員、大学講師、市進ホールディングス社長特命アドバイザーを務める。3歳男児と1歳女児のワーキングマザー。

インタビューアー/WorMo’編集長 河内律子(4歳児のワーキングマザー)

企業・行政とこどもをつなぐ
活動を幅広く展開中
――尾崎さんは、本当にいろいろな活動に関わっていらっしゃるんですね。プロフィールを拝見するだけでも、頭が混乱してしまいそうですが…。
よく言われます(笑)。今も、様々な立場で10件ぐらいのプロジェクトが同時進行中ですし。でも、どの活動も「こどもとママに、ビジネスの新戦力として活躍してもらいたい」という軸はぶらさず持っています。例えば最近増えているのは、「こどものキャリア教育」に関する活動です。
――工場見学とか?
そういうイメージが強いですよね。多くの企業や自治体では、こどもたちに仕事の現場を見せ、職業体験をしてもらうキャリア教育活動を展開しています。ただ、1日だけのイベントだと、こどもたちはリアルな社会の現場に触れることができず、得るモノは限られます。一方、社会貢献活動としてキャリア教育の場を設けている企業や行政にとっても、こどもたちの発想力やアイデアを実益や地域活性化につなげられません。
――そこに尾崎さんがどう関わっているんですか?
NPO法人コヂカラ・ニッポンや私が設立した株式会社新閃力では、「コヂカラの活用」をテーマに企業や行政とこどもとをつなぎ、こどもの想像力や意見を商品やサービスに生かす方法を提案しています。たとえば、コヂカラ・ニッポンで行った洋菓子のヒロタと小学生によるシューアイスの新商品開発では『お米のシューアイス』が商品化され、過去最高の売り上げを記録。農林水産省の「フード・アクション・ニッポンアワード2012」などで入賞したんですよ。
――成功ケースが増えれば、様々な企業がキャリア教育の場を提供するようになるし、こどもも勉強の機会が増えますね。そもそも、「こどもにキャリア教育」に関心を持つようになったきっかけは?
実は高校時代に、周りの大人とけっこう衝突しまして。私は生徒会長として校則を変えようとしていたのですが、先生方は「校則を変えることより成績が大切」の一辺倒だったんです。でも私は「固定概念を変えようとする力は学力よりも必要なはずだ」と思っていて、早く社会に出て自分の力を発揮したかったし、それを認めてくれる大人に出会いたかったんです。
――なるほど、それが「こどものキャリア教育」とつながるんですね。
そうですね。こどもたちに「あなたたちの力は社会に必要なんだよ、学校の外にも世界が拡がっているんだよ」と気づいてもらいたくて、いろいろな活動に関わっています。
自分のこどもに対しても同じで、主人とはいつも「この世界は広いんだってことをこどもに伝えよう」と話しています。だから、関わっているイベントにも、できるだけこどもたちを連れて行くようにしています。
――それが、尾崎さんならではの子育てなんですね。他に子育てで心がけていることは?
とにかくコミュニケーションをとること。家事が少々手抜きになっても、こどもと話す時間はしっかりとるようにしています。こどもが寝るまでは、電話も最低限の通話にとどめています。
地域のママを支援する活動は
自分の苦い経験がきっかけに
――もう1つの活動の柱である「ママへの支援」というのは?
私が住む千葉県流山市は共働き夫婦が増えているため、学童保育が不足しています。また、働きたい気持ちはあってもさまざまな事情からできないママもたくさんいます。私は流山市の子ども子育て審議委員も務めているので事情もわかり、現状を変えたいと感じていました。そこで、市進ホールディングからお話をいただいたことをきっかけに、ママ支援も行う民間学童保育のプロデュースを行っています。
――具体的にはどんなサービスを行っていく予定ですか?
フルタイムで働くワーキングマザーに対しては、お預かりしている時間内にお子さんが習い事を終えられるようにしたり、夜までお預かりしたりと、臨機応変に対応しています。
また、働きたいお母さんには、学童のお迎えなどのお仕事を提供したり、自分のスキルを活かして起業したいお母さんに向けては、起業ノウハウが学べる講座を市と一緒に開催する予定です。仕事にやりがいを感じるママが増えるのはうれしいし、地域が活性化していく現場に寄り添えるのも楽しいな、と思います。
――私は子育てと仕事のバランスを取りながら、日々のリズムをつくるのにいっぱいいっぱいで、こどもが3歳になるまでは地域に目を向ける余裕がなかったのですが…。
私もそうでした。でも、あることをきっかけに、地域とのかかわりが生まれたんです。それは、主人の出張中に、たまたまこども2人が風邪を引いて、私にもうつって39度の熱を出してしまったときでした。まったく動けず、自分1人ではどうすればいいかわらなかったので、おそるおそるご近所の女性に「病院に行きたいので、こどもを預かってくれませんか?」とお願いしたら、「どうして早く言わないの!」と快く預かってくださり、食事を差し入れてくださったんです。そのときから、「地域は最大のセーフティーネットだ」と思うようになり、私も貢献できることがあればどんどんお手伝いしたいな、と思うようになりました。
――ママのサポートに関わりたいと思った理由はありますか?
もちろん尾崎さん自身がワーキングマザーだからというのもあると思いますが…。
私、こどもができてしばらくは子育てを楽しめなかったんです。こどもができるまではバリバリのキャリアウーマンで「男性社員に負けたくない。トップを取るんだ!」と思って頑張っていたから、育児をしていても「誰にも評価してもらえないのはつまらないな」と考えてしまって。こどもができれば母性って自然とわいてくると思っていたのに、“何をおいてもこどもが最優先”とは思えなかったんですよね。でも第二子の育休中、上の子がどんなものに興味を持ち、何を観察しているのかを、こども目線でみているうちに「こどもの変化って面白い。できるだけ近くで見ていたい」とやっと思えるようになり、それが会社を辞めて地元で起業するきっかけにもなったんです。
働くことの楽しさもわかるし、辞めたくなる気持ちもわかる。同じことを悩んで迷ったからこそ、頑張っているママの力になりたい、と思うようになりました。
――「認められたい」という欲求が果たされなくて悩む人はきっと多いですよね。今はいかがですか?
起業してからずっと、「日本じゅうで誰もやっていない、私にしかできない仕事をしたい」という軸をもって活動しています。今関わっている仕事はどれも、その軸に沿ったものだし、私自身も地域のママやたくさんのお子さんにも喜んでもらえて、充実しています。
スマートウォッチは仕事と家事&育児の両立必須アイテム。電話/メールの着信をスマートウォッチで確認し、急ぎの時だけ即対応。こどもとの時間を大切にしつつ、仕事の重要連絡も逃がさない工夫。
ウルトラマン好きの3歳の息子は、ご飯をたくさん食べるとウルトラマンになれると信じ、毎日のように「ウルトラマンになってる? 強くなってる?」と聞いてきます(笑)
――今の尾崎さんの活動は、いろいろな経験をしっかり受け止めてきたからこそなんですね。これから、どんなアイデアを実現されるのか、とても楽しみです。

尾崎さんの ある1日


6;00 起床、保育園の準備、洗濯、こどもたちを起こす
7:00 朝食
7:40 出社、保育園に送る
8:30 電車で東京へ(社内では新聞や仕事の資料に目を通す)
10:00

16:00
東京で打合せ4件(合間にランチ)
17:30

保育園にお迎え、買い物、帰宅、夕食準備

19:00 夕食
20:00 お風呂
21:00

こどもたちを寝かしつける

ご主人の夕食を準備
23:00 メールチェックなど
24:00 就寝

取材を終えて

常に複数のプロジェクトを抱えていてお忙しい尾崎さん。ユニークなプロジェクトアイデアの創出、またそれを実現させる原動力は何か?と質問したところ、「誰もしたことがないことにチャレンジしたい」という信念だと教えていただきました。テキパキと話される仕事観の一方で、育児に関しては迷われたご経験があると聞くと、なんだか一気に親近感も! 仕事を介してこどもに様々な世界をみせてあげられるのは、ワーキングマザーならではの特権かもしれません。(河内)

文/横堀夏代 撮影/野村一磨