2017.7.19

WorMo’的ワークスタイル

「好きなことを仕事にする」の先へ

Vol.23 「キャンプのある暮らし」に魅せられ

日本ママ起業家大学で学ぶ女性たちによるプレゼンテーション大会「ママ起業家プレゼンmirai」にて、2017年度のWorMo’サポーター賞(※)を受賞した三沢真実さん。「キャンプのある暮らし」をコンセプトにCAMMOC(キャンモック)というデザインキャンプ・ユニットを組み、キャンプイベントの開催のほかウェディングやベビーシャワーなどのイベントプロデュースも手がけている。CAMMOCの共同代表を務める三宅香菜子さんを交え、活動の内容や活動を通して伝えたいこと、実現したいことについて伺った。※WorMo’サポーター賞とは、2017年3月8日に行われた「ママ起業家プレゼンmirai」にて、WorMo’編集部が選んだプレゼンターに対して贈られる賞。

「好き」を追求した二人の感性が
絶妙なコラボレーションを生む
三沢さんは東京生まれの東京育ち。小学生の頃にはガールスカウトに所属し、自然やアウトドアが大好きだった。ガールスカウトではキャンプもしたが、「食事は梅干しのおにぎりだけとか、楽しむというよりはストイックな野外訓練という感じだった」と当時を振り返る。その後キャンプからは遠のいていたが、2011年に友人の紹介で三宅さんに出会い、誘われて参加したキャンプで衝撃を受けた。
「おしゃれで、心地良くて、食事も美味しくて、今までのキャンプのイメージとはまるで別世界でした。そして、自然の中で自分たちの好きなように空間や料理を創り上げる楽しさに、一気にハマってしまいました」(三沢さん)
一方の三宅さんは、アウトドア雑誌のモデルの仕事をきっかけにキャンプにのめりこんでいった。さまざまなキャンプを経験するなかで、「もっとかわいくて、楽しくて、気持ちのいいキャンプをしたい」という思いが強くなり、テント内にクッションを置いたり、ふわふわのラグを敷いたり、自分の「好き」を追求していった。さらに、フードコーディネーターの仕事を始めたこともあり、料理にもこだわった。そんな矢先に出会ったのが、デザインやものづくりが得意な三沢さんだった。
「私の好きなキャンプスタイルに三沢の感性でデコレーションを加えたら、絶妙なコンビネーションを生んだ」と三宅さんが言うように、すっかり意気投合した二人は、仲間を誘いキャンプを続けた。そして、自分たちのキャンプをイベント化してSNSなどで告知し、活動を広げていくようになった。こうして、デザインキャンプ・ユニットCAMMOCが誕生した。
三宅香菜子さん
「キャンプのある暮らし」を実践し、
その魅力を伝えていく
CAMMOCのコンセプトは、「キャンプのある暮らし」。キャンプ好き同士がキャンプを楽しむイベントだけでなく、キャンプを経験したことがない人にこそキャンプの楽しさを知ってほしいと、初心者でも気軽におしゃれなキャンプが楽しめるイベントを多く企画している。
その一つ、「ママキャンプ」は、未就学児とその保護者(男性も可)を対象にした1泊2日のキャンプイベント。「ママの笑顔は子供の笑顔 子供の笑顔はみんなの笑顔」をコンセプトに、ママがリラックスして過ごせるよう、テントの設営や調理などはすべてスタッフが行う。夜にはお酒と美味しい食事を囲んでゆったりと過ごす大人タイムもあり、日頃育児・家事に追われるママたちは、自然の中で身も心も開放されていく。専属カメラマンによる写真撮影もあり、ママたちに大人気のプログラムとなっている。
その他にも、初心者向けキャンプ、たき火キャンプ、フードにこだわったキャンプなど、さまざまなテーマでキャンプイベントを開催。オーダーメイドのパーティーキャンプも受けており、これまでに3組のカップルのアウトドアウェディングパーティーをプロデュースした。
「自然の中でキャンプをすると、さまざまな気づきがあります。手放すことや本来の姿でいることの心地よさが無理なく体験でき、日々の暮らしや自分自身を見つめ直すきっかけにもなります。心が満たされて豊かになれば、暮らしも、そして人生も豊かになると思います」(三沢さん)
三沢さんはデコレーションなど空間プロデュースを、三宅さんはフードのコーディネートを中心に担当。イベントごとにスタッフを募集するが、テントの設営などの作業は自らもこなす。シーズン時には1週間連続キャンプ生活ということもあるという。「テントは第二の我が家」と三宅さん。「3歳になるこどものキャンプデビューは生後1か月」と三沢さん。「キャンプのある暮らし」を自ら実践し、愛して止まない様子が伝わってくる。
三沢真実さん
立ち止まり、話し合い、学び直し、
本当にやりたいことが見えてくる
実は、CAMMOCを始めて3年目、三沢さんはある転機を迎えていた。それまでは日本語教師を務める傍ら週末を中心にCAMMOCのイベントを手がけていたが、妊娠・出産を期に仕事を辞め、さらにシングルマザーになった。自分の生き方について考えたとき、答えは自然と出てきた。
「キャンプをしながらの生活は本当に楽しく魅力的で、より多くの人にそのことを伝えたいし、こどもとも一緒にキャンプをしたい。だから、本腰を入れてCAMMOCの事業をやっていこうと決意しました。人生の目標や働く目的は何か、CAMMOCが社会のためにできることは何か、事業として成り立たせるためにはどうすればいいか…。そんなことを三宅とも何度も話し合い、CAMMOCの理念やコンセプト、ターゲットなどを徹底的に見直していきました」(三沢さん)
二人で試行錯誤しながら続けてきたCAMMOCの活動だが、売り上げや集客面で壁にぶつかることもあった。行き詰まりを感じていた頃、勉強のためにと参加していたある起業セミナーで、三沢さんは日本ママ起業家大学(ママ大)のことを知る。これだと思い入学し、半年間、起業を目指す女性たちと共に学んだ。
「ママ大ではビジネスのノウハウなども学びましたが、何よりも大きかったのは、ディスカッションなどを通して気づきがあったことです。あれもやりたいこれもやりたいと思うがあまり、この仕事をやっている意味や自分が本当にやりたいことを見失いかけていた時期だったのですが、それが見えてきました。自然の中で暮らすことで、本来の姿や生きる力を取り戻す。そんなキャンプの魅力を世の中に伝えていく。今では自信を持って、そう言えるようになりました」(三沢さん)
ただ好きだから仕事にするのではなく、その先にある意義や目標が明確になると、自分の仕事に自信と誇りが生まれた。こどもとの接し方も変わった。こどもが幼く仕事にも迷いが生じていたときは、保育園で朝別れる度に「こどもは私のことをこんなに求めているのに、本当にこれでいいのか」と悩んだ。しかし今は、こどもも言葉を理解できるようになり、自分の仕事についてきちんと説明をし、理解してもらえるようになった。
今の二人の夢は、自分たちの描く理想のキャンプスタイルを実現できるキャンプ場をつくること。イベントやワークショップを開催できるようなアトリエやスタジオがあり、かわいくて楽しくてワクワクするような場をいつかつくりたいという。
「気軽にイベントに参加していただけるよう参加費用はできるだけ抑えたいので、今後はB to Bのビジネスを目指していきたい」と三沢さん。「CAMMOCの活動を通して仲間を増やし、いろんな人とセッションしていきたい」と三宅さん。これまではSNSを中心に発信してきたが、近日中にはホームページも完成予定だ。事業としてのCAMMOCの活動が、いよいよ本格的に始動する。

文/笹原風花 撮影/たじまこめお